先月のコラム「洗うほどに潤う!? 特別な天然界面活性剤『オリベム』」でも話題に上がった「ラメラ液晶構造」という言葉。
お肌にとって非常に大切な役割を担うものですが、お肌のどういう構造のことを指していて、どういった役割を持っているのかを知らない方、そもそもその名前すら聞き覚えのない方もいるのではないでしょうか。
今月はそんな「ラメラ液晶構造」にフォーカスして、お肌の保湿機能・バリア機能について解説していきたいと思います。
そもそもお肌の構成ってどうなっているの?
ラメラ液晶構造はヒトの肌が持つ構造の一つ。
その詳しい解説の前に、皮膚全体の構成や役割について簡単に確認したいと思います。
まず、皮膚そのものの大きな役割として、肌内部の水分を保持したり、外部からの異物や刺激、危険から身体を守るというものがあります。
そんな皮膚は、大きく分けると表皮・真皮・皮下組織という3つの層で成り立っており、その役割を果たすために、さまざまな組織・器官がそれぞれ機能を持って各層に存在しています。
表皮の構成と役割
表皮は皮膚の一番外側の部分で、外界からのダメージや異物の侵入を防ぎ、肌内部の水分を保持する役割を担っています。
この表皮はさらに厚さの異なる4層に分かれ、それぞれを「角質層(角層)」「顆粒層」「有棘層」「基底層」と呼びます。
表皮は約28日周期*でターンオーバーを繰り返しており、基底層で生まれた基底細胞が分裂して有棘細胞に、有棘細胞が顆粒細胞に、顆粒細胞が角層細胞になってお肌の表面に到達し、役目が終わると垢として剥がれ落ちます。
*基底細胞が有棘細胞に移行するところから起算した場合
それぞれの層の構造や特徴は下に表としてまとめましたので、ぜひご覧ください。
角質層 | 表皮の一番外側。角層細胞が10~20層重なっており、そこに存在する「NMF(天然保湿因子)」や「細胞間脂質」が皮膚を乾燥から守る役割を担う。また、そのさらに表面には皮脂膜がある。 |
顆粒層 | 角質層のすぐ下の層。顆粒細胞が2~3層に重なっている。顆粒細胞が角層細胞に変化する際に出現する顆粒もNMFの主成分となることで皮膚の保湿を担う。また、ここに存在するタイトジャンクションというバリア機能によって角層のpHが弱酸性に維持され、NMFや細胞間脂質の機能も正常に保たれている。 |
有棘層 | 有棘細胞の層。有棘細胞の外側には多くの突起が見られ、細胞同士が棘で結ばれているように見える。酸素や栄養を受け取る役割を担う。異物が侵入した時にアレルギー反応を起こす「ランゲルハンス細胞」はここにある。 |
基底層 | 表皮の一番下にある層で、基底細胞が並ぶ。ターンオーバーの始点で、新しい角化細胞を生み出す役割を担う。紫外線から身体を守るためにメラニン色素を生成する「メラノサイト(色素形成細胞)」はここにある。 |
表皮はこのような構造で、私たちのお肌のうるおいやツヤ、きめ細かさなどを決定づける部分です。
そしてラメラ液晶構造とは、この中の「角質層」に存在する「細胞間脂質」が持つ構造のこと。
「NMF(天然保湿因子)」や皮脂膜とともに、皮膚のバリア機能を担っているのです。
真皮の構成と役割
真皮はお肌のハリと弾力を保つ役割を持っており、その約70%はコラーゲン線維が占めています。
一応構造としては、表皮の基底細胞に栄養を与える「乳頭層」と真皮の大部分を占める「網状層」に分かれてはいますが、真皮は層としての構造よりもその中を構成する組織を知ることの方が重要です。
真皮には、
外部の衝撃から身体を保護し、肌にしなやかさや弾力を与える「コラーゲン線維」
それらを束ねると同時に、同じく衝撃から保護し、しなやかさや弾力を与える「エラスチン線維」
線維と線維の間を満たしハリや弾力をもたらすゼリー状のお肌のクッション「基質」
これらすべてを作り出し、古くなった成分を分解する「線維芽細胞」
の主に4つの組織が存在します。
真皮は今回のテーマ「ラメラ液晶構造」とはあまり関係ありませんが、老化によって線維芽細胞が衰えるとしわやたるみに繋がるなど、こちらも美肌の重要なカギを握っている大事な器官なのです。
皮下組織の構成と役割
皮下組織は真皮とその下にある筋肉と骨の間にあり、皮下脂肪や血管が存在します。
エネルギー源となる脂肪をつくり蓄え、体温を保ち、身体全体のクッションのような役割をしています。
ラメラ液晶構造の役割としくみ
お肌そのものの構造を確認できたところで、やっと本題の「ラメラ液晶構造」について解説していきたいと思います。
表皮の項でもご説明した通り、「ラメラ液晶構造」とは表皮の角質層に存在する「細胞間脂質」が持つ構造のこと。
この「細胞間脂質」はレンガのように並ぶ「角層細胞」の隙間を埋めるセメントのように存在しています。
細胞間脂質の主成分は「セラミド」。
化粧品のキャッチコピーなどでよく目にする成分ですが、この「セラミド」はスフィンゴ脂質という特殊な脂質の一種で、脂質でありながら、水となじみやすい「親水基」を持っています。
もちろん脂質なのでアブラになじみやすい「親油基(疎水基)」も持っているため、セラミドは「親水基」と「親油基」の両方を持っているということになります。
セラミドが細胞間脂質の中で規則正しく並ぶことで、水分と油分が何層にも重なり合った状態になっているのが「ラメラ液晶構造」なのです。
お肌のうるおいは当然水分量が減少することで損なわれますが、外的刺激からお肌を守るバリア機能も水分量が低下することで損なわれてしまいます。
このラメラ液晶構造が整っていれば、肌からの過度な水分蒸散を防ぎ、しっかりと肌内部に水分を保持することができ、また、強力なバリア機能を維持することができるのです。
逆に言えば、ラメラ液晶構造が乱れていると過剰に水分が蒸発してしまい、刺激や感染からお肌をバリアすることができなくなってしまいます。
こうなってしまうと、実際のお肌の症状としては、肌荒れや乾燥肌から始まって敏感肌になってしまったり、ひどい場合はウイルス・細菌性の湿疹や蕁麻疹が起きたりという状態に陥ることもあります。
つまり、「ラメラ液晶構造」はまさにお肌の保湿とバリア機能の要なのです!
ラメラ液晶構造を形成する成分配合の化粧品のメリット
fairplirシリーズの主役成分である「オリベム」は、肌や髪に乗せると細胞間脂質に入り込んでラメラ液晶構造をとる成分の一つですが、そういったラメラ液晶構造を形成する成分を使った化粧品のメリットとは何でしょうか?
メリット①:保湿効果が高い
ラメラ液晶構造を形成するのだから当然といえば当然のことですが、保湿効果が非常に高いことは大きなメリットの一つです。
自分の肌が持つ細胞間脂質のラメラ液晶構造を補ってくれるため、バリア機能を高め、内部からの水分蒸散を防ぎ、うるおいを保ってくれます。
メリット②:なじみやすい
お肌がもともと持つ構造と同じであるため、お肌になじみやすいのが特長です。
また、髪に使用しても髪のキューティクル構造に入り込み、毛髪の角層構造にもなじんで効果を発揮することができます。
メリット③:安定性が高い
水分を油分で閉じこめるように保持しているため、ラメラ液晶構造をとらない美容液等と比べて、美容液そのものからの水分の蒸発も防ぐことができ、安定性が高くなっています。
今回は保湿とバリア機能の要である細胞間脂質の「ラメラ液晶構造」にフォーカスしてお肌の構造について解説してきました。
スキンケアをするにも、お肌のどこにどんな組織や成分が存在していて、それがどんな役割を担っているのかを知っているだけで、商品の選び方や使い方が変わってくるかと思います。
「ラメラ液晶構造」以外にも美肌のカギとなるものはたくさんあるので、ぜひ皆さんも興味を持って調べてみてください!
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ヘッドスパ美容研究家/深頭筋ヘッドセラピスト 山本幸恵(やまもと・ゆきえ) 「ヒーリングヘッドセラピー Tiphareth」オーナー。15年間美容師として勤めたのち、2006年から2013年までの7年間、東京白金台にてオーナーセラピストとして日本初となるヘッドスパ専門サロンを運営。同サロンは技術力、ホスピタリティともに業界第一位と言われるまでのブランドを確立し、ヘッドスパの第一人者と称される。独自で開発した「深頭筋マッサージ™」は多くのメディアに注目され、これまでに施術をした人数は3万人を超える。現在は東京新宿区でプライベートサロンを運営。サロンワークのみならずセミナーによる施術者の育成や美容化粧品シリーズ「fairplir(フェアプリール)」の研究開発にも力を入れている。 |
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