fairplirシリーズでは、「育菌」というキーワードを掲げ、お肌の「常在菌」が自然なバランスで育てるよう肌環境を整え、それらと共存することで、ありのままの素肌を美しくしていくというコンセプトで化粧品開発をしています。
あまり意識したことのない方や、「菌」といえば悪いイメージをお持ちの方も多くいらっしゃるかと思いますが、腸内環境を整えるために腸内フローラを整えてあげる「腸活」と同じように、美肌づくりのためにはお肌の「常在菌」のバランスを整えてあげることがとても重要です。
今月のコラムでは、お肌にはどんな種類の「常在菌」がいて、それぞれどんな特徴をもっているのか、そして「育菌」のための正しいスキンケアについて、詳しく解説したいと思います!
また、常在菌についてのお話は、私の経験談も交えながらYouTube動画でもお話ししています!
動画の方が見やすい方はこちらもぜひチェックしてみてください。
お肌の「常在菌」の種類と特徴
人体にはさまざまな細菌・真菌が常在していますが、腸内、口腔内、皮膚など、部分ごとに存在している菌の種類は異なっています。
中でも皮膚には1兆個以上、200種類以上の常在菌が棲息しているといわれており、腸内細菌よりは少ないものの、かなり多くの菌が共存していることがわかります。
今回は、その皮膚常在菌の中から、代表的な常在菌を4種類ご紹介します。
表皮ブドウ球菌
いわゆる「美肌菌」の代表で、皮脂を分解するための「皮脂分解酵素」をもっています。
その酵素で、皮脂に含まれるトリグリセリドを、抗菌作用のある脂肪酸と保湿作用のあるグリセリンに分解するのが「表皮ブドウ球菌」の特徴。
また、脂肪酸を作ることで皮膚表面を弱酸性に保ち、アルカリ性の環境を好む「黄色ブドウ球菌」などの悪玉菌が増殖するのを防いでくれます。
自分たちが棲み処にしている皮膚細胞にとってよい環境であるように働いてくれているのです。
アクネ菌
「アクネ菌」というとニキビの原因というイメージが強いかもしれませんが、健康なお肌では、むしろ表皮ブドウ球菌などと同じように美肌のために働いてくれている菌です。
ただし、思春期によるホルモン分泌の活性化や、食事の偏り、ストレスなど何らかの原因によって皮脂の分泌が過剰になると、毛穴が皮脂で詰まることで毛穴の中の酸素が少なくなってしまうために、嫌気性のアクネ菌が異常に増殖し、ニキビができてしまいます。
アクネ菌は肌環境が整っていれば善玉菌として働いてくれる大事な菌なので、ニキビの原因といって排除しようとするのではなく、お肌を健康な状態に戻してあげることでバランスを正してあげることが大切です。
黄色ブドウ球菌
「黄色ブドウ球菌」は先ほど悪玉菌として名前を挙げましたし、食中毒の原因としても有名ですが、健康な人の30%前後が保菌しており、通常は無害の菌です。
ただし、健康な状態では弱酸性の皮膚表面が、上の善玉菌が少ないなどの理由でアルカリ性に傾くことで、とたんに増殖し、化膿や炎症を引き起こします。
マラセチア菌
酵母の一種である真菌で、上の細菌類とは独立して皮脂を分解し脂肪酸とグリセリンを作っています。
アクネ菌同様、皮脂が多すぎると増殖してしまい、炎症やフケ症、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、その他さまざまな皮膚病の原因として悪さをします。
「育菌」のための正しいスキンケア
お肌にはさまざまな常在菌が棲んでいて、お肌の状態と密接に関わりあっていることがおわかりいただけたと思いますが、それでは、それらの常在菌とうまく付き合っていくにはどのようなスキンケアを心がければよいのでしょうか。
常在菌の中には、よい働きをしてくれる善玉菌も、時には悪さをする悪玉菌もいますが、だからといって悪玉菌を排除して善玉菌を増やせばいいということではなく、あくまで適切なバランスに整えてあげることが大切です。
肌環境を善玉菌にとって過ごしやすい環境にしていれば、善玉菌の働きによって悪玉菌は過剰に増えることなく大人しいまま、弱酸性環境に弱い病原菌は繁殖しにくいですし、善玉菌が肌にとっての何よりの美容液を作り続けてくれるからです。
ここでは、「常在菌がバランスよく育つ環境を整える」=「育菌」のためのスキンケアについて、私の考えをお伝えしたいと思います。
「洗いすぎ」は厳禁!
まず、大前提になるのが「洗いすぎ」をやめること。
今の一般的なスキンケアの考え方では、クレンジングや洗顔料でできるだけキレイにお肌の汚れをオフしてから、そこに有効成分や美容成分の豊富な基礎化粧品を与えるのがよいとされていることが多いと思います。
薬用洗顔料などは、殺菌成分が入っているものもあり、ニキビなどの肌悩みがある方ほど洗いすぎてしまったりしているのが現状です。
しかし、脱脂力の強いクレンジングや洗浄力の強い洗顔料、殺菌作用のある洗顔料などを使って洗顔をしていると、
常在菌自体を過度に洗い流してしまう
常在菌のエサとなる皮脂も過度に洗い流してしまう
肌環境がアルカリ性に傾く
皮膚が極度に乾燥する
など、多方面から肌環境を常在菌が育ちにくいものに変えてしまいます。
洗顔で乾燥したお肌は化粧水や美容液で保湿するのが当たり前とされているかもしれませんが、保湿という面でも、アルカリ性に傾いた肌環境を弱酸性に戻すという点でも、常在菌の働きに勝る化粧品はありません。
ゆえに、常在菌を過度に洗い流してしまう、そして育ちにくい環境を作ってしまう「洗いすぎ」は厳禁なのです。
かといって、特にメイクをする方はクレンジングや洗顔料を使わないという選択は難しいと思いますので、洗浄力や脱脂力の弱いものを選ぶことが大切になります。
私がオススメできるのは、美容液成分で作ったクレンジングオイル「007 balancer oil cleansing」と、オリベムというやさしい天然界面活性剤を使って開発した泡洗顔「008 serum face wash」ですが、他社様の商品をお使いになる場合でも、成分表示を確認して、とにかく過度な洗浄力がなく、保湿できるもの・乾燥しにくいものを選んでいただくとよいと思います。
※一般にアミノ酸系の洗浄成分は洗浄力はマイルドですが、アレルギー体質の方にはかゆみが出る場合がありますのでご注意ください。
皮脂に近い成分を補って保湿!
そして、毎日のスキンケアとしてオススメしたいのが、皮脂に近い成分を補ってあげて、お肌を保湿することです。
乾燥は、肌の免疫機能にとっても常在菌にとっても大敵。
乾燥して皮脂も少ない皮膚では、常在菌は育つことができないどころか、棲み続けることも難しくなってきます。
さらに、皮脂が少ないことで、表皮ブドウ球菌などが皮脂をエサに作り出す脂肪酸も少なくなり、肌環境を弱酸性に保つことができなくなり、悪玉菌が優位になってしまいます。
こういった事態を防ぐためにも日々の保湿はとても重要になりますが、その保湿を「皮脂に近い成分」に担ってもらうことで、「常在菌のエサ」も補給してあげるのが「育菌」のためのオススメのスキンケア。
特に、防腐剤などの余計なものが入っていないシンプルなもので保湿してあげる方が、より常在菌が育ちやすい環境を整えやすいです。
化粧品で作られた有効成分・美容成分を外から与えていくのではなく、皮脂に近いもので保湿することで常在菌に天然の美容液をたくさん作ってもらうという考え方に切り替えるのが大切です!
オススメの「皮脂に近い」保湿成分3つ!
では、育菌スキンケアにオススメな「皮脂に近い」保湿成分3つを下の表でご紹介します。
保湿成分 | 概要・主成分 |
---|---|
ミツロウ | ミツバチが巣を作る際に分泌する動物性ワックス。主成分はワックスエステル。 |
シアバター | シアの実から採れるバター状の脂肪。主成分はオレイン酸やステアリン酸。 |
ホホバオイル | ホホバの実から採れる植物性ワックス。主成分はワックスエステル。 |
これらは、油ではなく、ワックスや脂肪と呼ばれるもので、同じくワックス(ワックスエステル)や脂肪(トリグリセリド)からできている皮脂とかなり近しい成分で、肌なじみがよく、保湿力に優れています。
これらの素材はネットやアロマショップで手軽に手に入るので、お好きな素材とアーモンドオイルなどの植物キャリアオイルとをブレンドしたりして、保湿クリームを手作りしてお手入れに使うのもオススメ。
(今回作り方のご紹介はしていません!申し訳ございませんがネットで調べていただければいろいろレシピが出てくるのでそちらを参考にしてください!)
fairplirの「005 moist rich balm」も、もともとは私がミツロウとシアバターをベースに手作りしていたものを商品用に工場にレシピを渡して作ってもらっているものです。
オリベムも配合しており、配合バランスにもかなり自信のある商品ですので、もしよろしければこちらもチェックしてみてくださいね。
皮膚をはじめ、ヒトの身体やそこに棲む常在菌には、もともと身体の状態を健やかに保つための優れた機能が備わっているものです。
健康なときにはできるだけ、その本来備わっている機能を活かしてあげることで、より自然に、ありのままの状態を美しくしていきたいですね。
「育菌」という言葉は菌にフォーカスをした表現になっていますが、fairplirでは、そういった「髪や素肌、常在菌が本来もつ機能」を活かすための化粧品開発をしています。
ご興味をもっていただけましたら、各商品の詳細もご覧いただければ幸いです!
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ヘッドスパ美容研究家/深頭筋ヘッドセラピスト 山本幸恵(やまもと・ゆきえ) 「ヒーリングヘッドセラピー Tiphareth」オーナー。15年間美容師として勤めたのち、2006年から2013年までの7年間、東京白金台にてオーナーセラピストとして日本初となるヘッドスパ専門サロンを運営。同サロンは技術力、ホスピタリティともに業界第一位と言われるまでのブランドを確立し、ヘッドスパの第一人者と称される。独自で開発した「深頭筋マッサージ™」は多くのメディアに注目され、これまでに施術をした人数は3万人を超える。現在は東京新宿区でプライベートサロンを運営。サロンワークのみならずセミナーによる施術者の育成や美容化粧品シリーズ「fairplir(フェアプリール)」の研究開発にも力を入れている。 |
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